主任技術者・監理技術者

建設業許可を取得する際には専任技術者は必須ですので、専任技術者については大体のことを理解しているかと思います。

しかし、主任技術者や監理技術者については、決算変更届を提出する時や公共工事の入札をする時などに、初めて耳にする方が多いのではないでしょうか。

また、名前からして、「専任技術者と似たようなもの」とお考えの方も多いかと思います。

しかし、それはとても危険です。

主任技術者や監理技術者の正確な意味を理解し、ちゃんと現場に配置していないと、建設業法に違反していることになります。

せっかくこのページをご覧になっていただいたのですから、ここで主任技術者、監理技術者のことをよく理解してください。

目次

1.専任・主任・監理技術者の概要
1-1.3つの技術者の違いについての全体像
1-2.必ず押さえていただきたいポイント

2.専任技術者について
2-1.専任技術者の役割
2-3.専任技術者の要件

3.主任技術者について
3-1.主任技術者の役割
3-2.主任技術者の要件

4.監理技術者について
4-1.監理技術者の役割
4-2.監理技術者の要件
4-3.監理技術者が建設工事に携わるために必要なこと

5.主任・監理技術者は工事現場に専任でなければならない
5-1.専任であることが求められる工事とは
5-2.工事現場に専任であるとは
5-3.複数の工事を一人の主任技術者が兼務できる例外
5-4.複数の工事を一人の主任技術者(もしくは監理技術者)が兼務できる例外

6.専任技術者が主任技術者を兼務できる条件

1.専任・主任・監理技術者の概要

専任技術者、主任技術者、監理技術者の3つの技術者を理解する上で、まずはそれぞれの概要について簡単に説明いたします。その後、詳細な説明となっていきますが、全体感をつかんでいただくことで、それぞれの違いについて理解しやすくなるかと思います。

1-1.3つの技術者の違いについての全体像

専任技術者

請負契約の締結にあたり技術的なサポートをするのが役割です。具体的には、工事方法の検討や注文者への技術的な説明、見積作成などが役割です。そのため、原則としては営業所の中で仕事をすることになっており、工事現場に出ることは想定されていません。

主任技術者・監理技術者

工事が適切に行われるように、工事現場において技術上の管理、監督を担います。よって、実際の工事現場が仕事場となります。
主任技術者は、小規模な元請工事や下請工事の現場において配置が必要です。
監理技術者は、大規模な元請工事の現場において配置が必要となります。

3つの技術者の全体像

1-2.必ず押さえていただきたいポイント

この後、それぞれの技術者について細かい説明となりますが長文となります。(15分もあれば読めますが。)
重要なことですので全てをしっかりと理解していただきたいのですが、時間の無い方は最低限、以下のポイントを押さえてください。

  • 建設業許可を受けている業者は全ての現場に主任技術者を置かなければいけない
  • 特定建設業の許可が必要となる工事の現場のおいては監理技術者を置かなければいけない
  • 主任技術者・監理技術者になるための要件は、専任技術者の要件とほぼ同じ
  • 個人住宅を除く規模の大きな工事においては、主任技術者、監理技術者はその現場の専任となり、他の現場を掛け持つことはできない
  • 専任技術者は営業所にいることが原則のため、主任技術者・監理技術者を兼務することができない
  • 営業所から近い現場で規模の小さな工事であれば、専任技術者が主任技術者・監理技術者を兼務することができる場合がある

2.専任技術者について

建設業許可を受けるためには営業所に専任技術者がいなければいけません。また、専任技術者がいなくなると建設業許可を維持することができません。専任技術者は建設業許可を取得、維持するために必須の要件となります。

2-1.専任技術者の役割

許可を受けた営業所で行う建設工事に関して、請負契約の適正な締結、その履行を確保することが役割となります。よって、営業所に常勤していて、見積の作成や契約の締結、注文者との技術的なやり取りを担います。

2-2.専任技術者の要件

専任技術者になるためには、一定水準以上の知識や経験が無ければなりません。
どんな知識や経験が必要になるかは、建設業許可の種類(一般建設業か特定建設業か)や営む建設業の業種(28業種)によって異なります。
また、営業所に専任として勤務していることも要件となります。

一般建設業における専任技術者の要件

以下の3つのうちどれかをクリアし、かつ営業所に専任として勤務していなければいけません。

  • ①資格(建設業種に応じて定められています)
  • ②10年以上の実務経験
  • ③学歴+実務経験
営業所に専任とは
営業所に常勤として勤務し、専ら職務に従事することを指します。
つまり一時的な名義貸しなどは認められず、会社と雇用契約を結ぶなどして継続的な関係性があり、休日等を除く勤務時間にはその営業所に勤務していなければいけません。

具体的には社会保険に加入していることや、営業所と現住所が距離的に通勤できるものでなければなりません。他の会社に常勤でいたり、他の営業所の専任技術者となっている場合は認められません。

特定建設業における専任技術者の要件

以下の2つのうちどれかをクリアし、かつ営業所に専任として勤務していなければいけません。
指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園工事)については①の資格のみでしか要件をクリアすることができません。

  • ①資格(建設業種に応じて定められています)
  • ②一般建設業の要件クリア+指導監督的経験(2年以上)

専任の定義は、上記で説明したものと同じです。

専任技術者になるための要件を詳しく説明いたします!にて、専任技術者についてさらに詳しく説明していますので参考にしてください。

3.主任技術者について

建設業許可を受けた業者は、元請・下請に関わらず、また請負金額にも関わらず、請け負った全ての工事について、現場に主任技術者を配置しなければなりません。(監理技術者を配置する場合を除きます。)

3-1.主任技術者の役割

建設工事を適正に実施するために、工事現場において、施工計画の作成や工程管理、品質確保の体制整備、検査・試験の実施、工事目的物・仮設物・資材等の品質管理、その現場で施工に従事する技術者の指導監督などが役割となります。

3-2.主任技術者の要件

主任技術者になるためには、一定水準以上の知識や経験が無ければなりません。
また、所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係が必要となります。

一定水準以上の知識や経験

この部分については、前述した「一般建設業における専任技術者の要件」と同じです。

  • ①資格(建設業種に応じて定められています)
  • ②10年以上の実務経験
  • ③学歴+実務経験

直接的かつ恒常的な雇用関係

専任技術者については営業所に専任であることが要件でしたが、主任技術者には、所属する建設業者の直接的かつ恒常的な雇用関係が要件となります。(この後の監理技術者も同様となります。)

直接的な雇用関係とは
所属する建設業者と主任技術者(もしくは監理技術者)になろうとする人が、第三者が介入することなく直接に、賃金や労働時間を取り決め、雇用関係を結ぶことをいいます。
よって、在籍出向者や派遣社員については直接的な雇用関係とはならず、主任技術者(もしくは監理技術者)になることはできません。

直接的な雇用関係にあることは、以下の資料を提示して証明しなければなりません。

  • 主任技術者
    1. 健康保険被保険者証の所属建設業者の商号または名称
    2. 住民税特別徴収税額通知書の所属建設業者の商号または名称
  • 監理技術者
    1. 監理技術者資格者証の所属建設業者の商号または名称、または変更履歴(裏書)
    2. 健康保険被保険者証の所属建設業者の商号または名称
    3. 住民税特別徴収税額通知書の所属建設業者の商号または名称
恒常的な雇用関係とは
主任技術者(もしくは監理技術者)になろうとする人が、所属する建設業者に一定の期間にわたり勤務することとなり、かつ毎日一定時間以上職務に従事することになる状況を指します。
よって、一つの工事の期間のみといった短期雇用では恒常的な雇用関係とはならず、主任技術者(もしくは監理技術者)になることはできません。

恒常的な雇用関係にあることは、以下の資料を提示して証明しなければなりません。

  • 主任技術者
    1. 健康保険被保険者証の交付年月日により確認
  • 監理技術者
    1. 監理技術者資格者証の交付年月日または変更履歴(裏書)
    2. 健康保険被保険者証の交付年月日

4.監理技術者について

基本的に建設業許可を受けた業者は、全ての工事現場に主任技術者を配置しなければなりませんが、元請工事で規模の大きな現場においては主任技術者に代わって監理技術者を配置しなければなりません。

監理技術者をおかなければいけないのは発注者から直接請け負った元請工事ですので、どんなに規模が大きくても下請工事であれば監理技術者ではなく、主任技術者を配置すれば足ります。

「規模が大きい」の定義は、消費税を含む総額で3000万円以上(建築一式工事は4500万円以上)を下請に出す場合となります。これは特定建設業許可が必要となる工事の規模と同じです。つまり、監理技術者を配置しなければいけないのは、特定建設業許可を取得している会社に限られます。

4-1.監理技術者の役割

基本的には主任技術者の役割と同じで、建設工事を適正に実施するために、工事現場において、施工計画の作成や工程管理、品質管理、その現場で施工に従事する技術者の指導監督などが役割となりますが、さらにこれらに加えて、下請業者を適切に指導監督するという総合的な企画、指導等の役割も担うことになります。

4-2.監理技術者の要件

監理技術者になるためには、一定水準以上の知識や経験が無ければなりません。
また、所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係が必要となります。

一定水準以上の知識や経験

この部分については、前述した「特定建設業における専任技術者の要件」と同じです。

  • ①資格(許可を受けようとする建設業種に応じて定められています)
  • ②一般建設業の要件クリア+指導監督的経験(2年以上)
  • ※指定建設業については①の資格のみでしか要件をクリアすることができません。

直接的かつ恒常的な雇用関係

前述の主任技術者における要件と同じ内容となります。

4-3.監理技術者が建設工事に携わるために必要なこと

監理技術者は、上記のように定められた要件を満たす人がなることができます。
また、実際に監理技術者として建設工事に携わるためには、監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証が必要となります。

専任が求められる工事(後述)において資格者証と講習修了証が必要となります。しかし監理技術者の配置が求められる工事は大抵が専任が求められる工事となりますので、監理技術者が建設工事に携わるためには資格者証と講習修了証が必要とお考えいただいた方が良いでしょう。

監理技術者資格者証

監理技術者となるための要件を満たしていれば、建設業技術者センターに申請し、審査が通れば交付されます。

監理技術者講習修了証

監理技術者講習を受講することで修了証が交付されます。監理技術者講習は以下の機関で実施されています。

資格者証と講習修了証の携帯義務

現場に配置された監理技術者は、建設工事に係る職務に従事しているときは常時、監理技術者資格者証を携帯し、発注者から求められた場合には資格者証を提示しなければなりません。
監理技術者講習修了証についても携帯が望ましいとされています。

5.主任・監理技術者は工事現場に専任でなければならない

主任技術者、監理技術者は建設工事の現場に配置されますが、その工事が一定規模のものにおいては、主任技術者、監理技術者は現場に専任となっていなければなりません。

5-1.専任であることが求められる工事とは

個人住宅を除く建設工事で、1件の請負金額が消費税込みの総額2500万円以上(建築一式工事は5000万円以上)となる工事です。

5-2.工事現場に専任であるとは

常時、配置された現場の職務に関してのみ従事しなければならず、他の現場に関する職務を兼業してはいけません。
よって専任技術者を兼務することはできません。

専任となる期間

基本的には契約工期の間は専任となっていなければなりません。
下請工事の場合は実際に下請工事が施工されている期間となります。

しかし、以下の期間においては、発注者と建設業者との間で書面により明確に定めていれば、例外扱いとなり専任であることを要しません。

  • 現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入、仮設工事等が開始されるまでの期間)
  • 自然災害の発生等により工事を全面的に一時中止している期間
  • 橋梁、エレベーター等の工場製作を含む工事であって工場製作のみが行われている期間
  • 工事完成後の事務手続き、後片付け等のみが残っている期間

5-3.複数の工事を一人の主任技術者が兼務できる例外

通常、専任が求められる工事では、一人の主任技術者は一つの現場でしか主任技術者になることはできません。しかし、関連性が強い複数の工事において、それら全てを同一の建設業者が請け負い、同じ場所、もしくは近接した場所において施工する場合は、一人の主任技術者がそれらの工事現場の主任技術者を兼ねることができます。

※この例外は主任技術者のみに対しであり、監理技術者には適用されません。
※例外に当てはまるかは管轄となる行政機関で個別に判断が必要です。

5-4.複数の工事を一人の主任技術者(もしくは監理技術者)が兼務できる例外

複数の工事において、契約工期が重複し、かつ工事対象物に一体性が認められる等の一定の条件を満たす場合には、それらの複数の工事を一つの工事とみなして、一人の主任技術者(もしくは監理技術者)がそれらの工事現場の主任技術者(もしくは監理技術者)を兼ねることができます。

※例外に当てはまるかは管轄となる行政機関で個別に判断が必要です。

6.専任技術者が主任技術者を兼務できる条件

これまで説明してきたように原則として、専任技術者は主任技術者・監理技術者を兼務することができません。
しかし、実際、一人親方や小規模な会社など技術者の要件を満たす人が一人しかいないことが往々にしてあり得ます。そのため、以下の条件を全て満たした場合のみ、例外として専任技術者が主任技術者・監理技術者を兼務することが認められています。

  • 専任技術者が専任となっている営業所において、請負契約が締結された建設工事であること
  • 営業所と工事現場が近接しており常時連絡がとれる体制にあること
  • 専任であることが求められる工事でないこと

7.専任・主任・監理技術者の比較のまとめ

最後に、専任技術者、主任技術者、監理技術者技術者について、要件、役割、雇用関係をまとめましたので確認してください。

  専任技術者 主任技術者 監理技術者
資格 【一般建設業】
①資格
②10年以上の実務経験
③学歴+実務経験
【特定建設業】
①資格
②一般建設業の要件+指導監督的経験
一般建設業の専任技術者要件と同じ 特定建設業の専任技術者要件と同じ
雇用関係 営業所に専任 直接的かつ恒常的な雇用関係
個人住宅を除く規模の大きな建設工事においては、工事現場に専任であることが必要
役割 営業所において、
請負契約の適正な締結と履行を確保
工事現場において、
・施工計画の作成
・工程管理
・品質管理
・安全監理
・技術者の指導監督
工事現場において、
・施工計画の作成
・工程管理
・品質管理
・安全監理
・技術者の指導監督
・下請業者の指導監督
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