経営業務の管理責任者

建設業許可を初めて取得する方にとっては、馴染みのない専門用語ばかり出てきて、頭を悩ますかと思います。

その中でも、経営業務の管理責任という言葉は、当たり前のように出てきます。しかも許可を取得するために欠くことのできない非常に重要な要件となっています。

この経営業務の管理責任者の要件をクリアできないことで、建設業許可の取得を断念する方が多いです。

そもそもの要件自体が難しいのですが、要件を満たすか判断するためにはいろいろな選択肢を検討しなければなりません。その選択肢を知らないことで、許可取得ができなくなってしまうのは、非常にもったい無いことです。

そんなことが無くなるよう、このページでは、経営業務の管理責任者について、どこよりも詳しく、かつ理解しやすいようにまとめております。

是非参考にしてください。

目次

1.経営業務の管理責任者とは
1-1.建設業許可には経営経験が求められています
1-2.経管になるとどんな役割があるのか

2.経営業務の管理責任者にはどんな人がなれるのか
2-1.要件の全体像
要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか
要件②:許可申請者の役員として常勤で勤務しているか
要件③:経営経験、常勤性を証明する確認資料が用意できるか

1.経営業務の管理責任者とは

経営業務の管理責任者は、一般的に略して経管(ケイカン)と呼ばれています。今後このページでも経管と使っていきます。

経管は建設業許可の要件の一つです。要件という言葉の意味は、「建設業許可を取得し、維持するために満たしていなければいけない条件」のことです。

経管の要件はいろいろ定められているのですが、まずイメージをつかんでいただくためにざっくり言うと、「建設業に関する経営経験のある人がいるか」という内容です。

この後詳しく説明していきますが、建設業許可を取るためには経営経験のある人が必要だ、というのは必ず覚えておいてください。

1-1.建設業許可には経営経験が求められています

建設業許可を取得するために経管は必須の要件となります。建設業許可には知事や大臣、一般建設業や特定建設業といった種類がありますが、どの種類の建設業許可でも経管の要件は同じ内容となります。

建設業許可以外にも許可はたくさんあります。例えば飲食店の営業許可や、古物商の営業許可といったものです。しかし、許可の要件に経営経験が求められているのはかなり珍しいです。大抵の許可は専門知識が求められる程度です。これはなぜかと言うと、建設業が特殊な業界となっているからです。

建設業において、工事を1件行うだけでも扱う金額は大きいですし、多くの人材を扱うことになります。また、工事の注文者や下請け先といった取引先も多く関わります。そのため、資金繰りや労務管理を適切に行う経営者としてのスキルが求められます。こうしたスキルが乏しいと、倒産のリスクが高まり、倒産となると多くの人に影響を与えてしまいます。

そういったことが無いよう、建設業許可に経管という経営経験の要件を課しているのです。

1-2.経管になるとどんな役割があるのか

経管になると、許可を取得した会社における建設業の業務を統括して、取引によって生じる対外的な責任を負う立場となります。また、この後の説明に出てきますが、経管になるには会社の役員といった経営陣にならなければいけないので、建設業以外についても経営上の責任を負うことになります。

つまり、かなり重い責任を負うことになります。

経管になろうという人はこの辺りのリスクを覚悟しなければなりません。名義貸しのようなことは安易に引き受けてはいけません。

2.経営業務の管理責任者にはどんな人がなれるのか

経管のイメージはつきましたか?
続いて肝心な、経管となるための要件について詳しくお伝えします。

2-1.要件の全体像

先ほど、経管の要件として「建設業に関する経営経験のある人がいるか」と説明しましたが、これをもう少し詳しく言うと、以下のようになります。

「建設業に関する経営経験が十分にある人が、許可申請者の役員として常勤で勤務していて、かつこれらを書面により確認することができるか」

一気に難しく感じたかもしれませんが、つまり経管になるためには、3つの要件を全てクリアしないといけないことになります。

経管の要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか
経管の要件②:許可申請者の役員として常勤で勤務しているか
経管の要件③:上記の①、②を証明する確認資料が用意できるか

経管の全体イメージ

これから要件をクリアできるか考えていただきますが、その考え方として、

  1. まず、要件①の経営経験が十分にある人が身近にいるかを考えてください。
  2. そして、その方が要件②の常勤で勤務が可能かを考えてください。
  3. 最後に、要件①、②を証明する書類が用意できるかを考えます。
要件の詳しい説明に入る前に、許可を受けようとする建設業の業種が決まっていないといけません。業種とは、建築一式工事や大工工事、内装仕上工事のことを指します。
もし決まっていない方は、建設業28業種を詳しく解説!これを見れば必要な業種がわかりますをご覧ください。

要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか

それではまず、経管の要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか、の内容についてお伝えしていきます。この要件についてはいろいろなケースが考えられます。どんなケースがあるのかを理解していただくため、3つに分けて見ていきます。

  • ①-1.建設業を行っていたか
  • ①-2.経営者としての経験があるか
  • ①-3.その経験の期間は十分にあるか

大前提として、この経験はどのタイミングでの経験でも構いません。許可を申請しようとする会社での経験である必要はありません。経管の候補となる方が、前職や前々職などの過去に経験があれば良いのです。

①-1.建設業を行っていたか

先ほど確認した許可を受けようとする業種が関わってきます。
建設業を行っていたかは、以下の2つのどちらかに分かれます。

  1. 許可を受けようとする業種の建設業を行っていた
  2. 許可を受けようとする業種以外の建設業を行っていた

①-2.経営者としての経験があるか

経営者とは以下の3つのどれかの立場に分かれます。

  1. 会社の役員、個人事業主、令3条使用人であったか
  2. 会社の執行役員であったか
  3. 経営業務を補佐していた者であったか

基本的には1. 会社の役員、個人事業主、令3条使用人であることが必要と考えてください。
2と3でも要件をクリアできる可能性がありますが、例外措置の意味合いが強いです。これらの経験しかない場合は、建設業許可の審査官に事前相談をしながら進めていくことになります。

用語の定義

  • 会社の役員
  • 株式会社・有限会社の取締役、委員会設置会社の執行役、合同会社の業務執行社員などを指します。監査役や会計参与等は含まれません。

  • 個人事業主
  • 事業主本人の他に、登記された支配人も含まれます。

  • 支配人
  • 個人事業主本人に代わって、その事業に関する全ての権限が与えられた人のことです。支配人として認められるためには、登記されていなければいけません。

  • 令3条使用人
  • 建設業許可における役職の一つです。建設業許可を取得する上で複数の営業所を設置した場合、それぞれの営業所に令3条使用人と呼ばれる責任者を置かなければなりません。いわゆる、営業所の支店長や営業所長のことを指します。令3条使用人として認められるためには、建設業許可を受けた際に令3条使用人として登録されていないといけません。役職上、支店長や営業所長だとしても、令3条使用人になっていない場合があります。

  • 執行役員
  • 登記はされていないものの、取締役会の決議によって具体的な権限が与えられた役員となります。

  • 経営業務を補佐した者
  • 個人事業主の配偶者や子息のことを指します。事業主本人が死亡等の急な事態を救済するための例外中の例外の基準となります。

①-3.経験の期間は十分にあるか

期間が十分にあるかの基準は、5年以上か7年以上に分かれます。
建設業の内容や経営経験の種類に応じて、必要となる年数が異なります。

注意していただきたいのが、この期間は、建設業を行っていて、かつ経営者となっていた期間となります。重複している期間が5年以上もしくは7年以上なければいけません。

経管の要件①がクリアとなるケース

これまでのまとめとなります。
「経管の要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか」については、これまでお伝えした

①-1.建設業を行っていたかの2パターン
①-2.経営者としての経験があるかの3パターン
①-3.その経験の期間は十分にあるかの2パターン

の組み合わせにおける特定のケースが、要件をクリアしていることになります。

要件クリアの内容についても、

  • 経営経験のある業種のみがクリアとなる場合と、
  • 全ての業種がクリアとなる場合の

2つがあります。

経営経験のある業種のみがクリアとなる場合は以下のようになります。3通りが考えられます。

経管要件①1業種のみ

例えば、大工工事業の許可を受けようしている場合、過去に大工工事業を営んでいた会社において、役員として5年以上の経験があれば、大工工事業についての経管の要件①がクリアとなります。同様に個人事業主として大工工事を5年以上行っていれば、経管の要件①はクリアとなります。

全ての業種がクリアとなる場合は以下のようになります。1通りのみとなります。

経管要件①全ての業種

例えば、先ほどと同じ大工工事業の許可を受けようしている場合、過去に管工事業を営んでいた会社において、役員として7年以上の経験があれば、大工工事業だけでなく全ての業種において経管の要件①がクリアとなります。同様に個人事業主として何かしらの業種で7年以上行っていれば、経管の要件①はクリアとなります。

つまり、建設業28業種のどれかしらで7年以上、経営者としての経験があれば、全ての業種において経管になることができます。

許可を受けようとする業種が複数ある場合

もし許可を受けようとする業種が複数ある場合は、それぞれの業種で5年以上の経験をお持ちの方か、何かしらの業種で7年以上の経験をお持ちの方を探さなければなりません。
この場合は、後者の方が圧倒的に簡単ですので、始めから7年以上の経験がある方を探した方が良いでしょう。

要件②:許可申請者の役員として常勤で勤務しているか

これまで、経管の要件の1つ目となる、建設業に関する経営経験が十分にあるか、について考えていただきました。
次は、要件①をクリアした方が、経管の要件②:許可申請者の役員として常勤で勤務しているか、をクリアすることができるか考えていきます。

この要件は、以下の2つを両方とも満たせればクリアとなります。

  • 申請者の役員となっているか
  • 常勤で勤務しているか

申請者の役員となっているか

こちらは言葉の通りで、簡単に理解できるかと思います。
役員とは、申請者が法人の場合は取締役や執行役、業務執行社員を指します。個人事業主の場合は事業主本人もしくは支配人を指します。

法人 株式会社 取締役
執行役(委員会設置会社)
合同会社 業務執行社員
個人事業主 事業主本人
支配人

※個人事業主本人を除いて、登記が必要となりますので注意してください。
※法人の場合で、監査役や会計参与では、建設業許可においての役員とはみなされませんので注意してください。

常勤で勤務しているか

常勤とは、許可申請者の営業所に、休日を除いて毎日しっかりと通勤し、一定の時間ちゃんと働いていることを指します。よって、単に経管となる人を雇用しただけでは不十分となります。

また、こういった要件があるので、以下のような方は常勤とみなされません。

  • 他の会社の常勤役員となっている
  • 他の会社の専任技術者といった技術者となっている
  • 他の会社の管理建築士や宅地建物取引主任者になっている
  • その方自身が個人事業主として事業を行っている

専任技術者や管理建築士、宅地建物取引主任者については、同一法人における同一営業所である場合には兼務できます。

常勤となっている時期について

経管の候補となる方は、建設業許可を申請する時までに常勤で勤務していれば良いです。申請者(会社や個人事業主)に在籍していた期間は要件となっていません。極端な話、許可を申請する前日に雇用された方でも良いのです。だからといって、名義貸しは絶対にNGです。

要件③:経営経験、常勤性を証明する確認資料が用意できるか

これまで、経管の1つ目の要件である建設業に関する経営経験と、2つ目の要件である役員としての常勤性について考えていただきました。
最後に、要件①、②をクリアした方が、それらの要件クリアを証明する確認資料が用意できるか、を考えていきます。

建設業許可の審査は、全て書面審査となります。基本的に、書面で用意できないものは審査官が認めてくれません。(内容によっては直接面談するなどして認められる場合もあります)

具体的に言うと、以下の事項を書面により証明する必要があります。

  • ③-1.建設業を行っていたこととその期間
  • ③-2.経営者になっていたこととその期間
  • ③-3.申請者の役員となっていること
  • ③-4.申請者に常勤で勤務していること

※建設業を行っていた期間と、経営者になっていた期間が重複している期間が、5年以上もしくは7年以上必要となります。

③-1.建設業を行っていたこととその期間

これは、経管の要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか、に出てきました。

建設業許可の審査において、建設業を行っていたかどうかの判断は独特の考え方をします。

  • 建設業許可を持っていたか、
  • 請負工事の内容が確認できる資料が用意できるか

これらのどちらかの資料を、必要となる期間分用意できれば、建設業を行っていたことの証明となります。

建設業許可を持っていたかの確認資料と期間の数え方

  • 確認資料
  • 建設業許可の許可通知書や許可申請書、決算報告届など

  • 期間の数え方
  • 建設業許可を持っていた期間が、建設業を行っていた期間と見なされます。
    許可通知書は5年ごとの更新の度に送付されるものとなるため、許可通知書が用意できる期間の間は5年間、建設業を行っていたことが確認できます。また、決算報告書があれば、その年度分は建設業を行っていたことになります。

  • 注意点
  • 地域によっては、会社名や許可番号、許可の種類、許可業種等が分れば、登録されているデータを照会することで、建設業許可を持っていたことと、その期間の確認が取れる場合があります。

請負工事の内容が確認できる資料と期間の数え方

  • 確認資料
  • 請負工事の内容が確認できる資料とは、以下の3つの内のどれかとなります。
    ・請負工事の契約書
    ・請負工事の注文書
    ・請負工事の請求書とその請求に対する入金が確認できる資料(通帳や取引明細)

  • 期間の数え方
  • 期間の数え方は、基本的に用意した資料に記載された日付をもとに数えます。しかし、地域によって期間の数え方が異なります。

    例えば、請負工事の注文書が用意できたとして、注文書に記載された日付が以下であったとします。年1件は用意できています。
    ・平成19年12月1日
    ・平成20年12月1日
    ・平成21年12月1日
    ・平成22年12月1日
    ・平成23年12月1日
    ・平成24年12月1日
    ・平成25年12月1日
    ・平成26年12月1日

    地域によっては、年1件、請負工事の内容が確認できる資料が出せれば、その1年については建設業を行っていたと見なされます。
    上記の例の場合、年1件は用意できているので、7年間以上の期間が認められます。

    しかし、月1件、請負工事の内容が確認できる資料が出せなければ、用意できない期間は認められない地域もあります。
    上記の例の場合、各年の12月のみ建設業を行っていたと見なされ、合計7カ月分しか期間が認められません。

    地域による影響を避けるためにも、出来る限り多くの請負工事の内容が確認できる資料を集めるようにしてください。

  • 注意点
  • 繰り返しになりますが、地域によって必要となる量、期間の数え方が異なります。
    詳しくは、各地域の審査窓口に問い合わせください。

    また、各資料で工事内容等が不明確なものは、追加資料も求められる可能性が高いです。

こういった考え方で、建設業を行っていた期間が5年以上、もしくは7年以上となるよう資料を用意してください。(この後に説明する、経営者になっていた期間と重複していなければいけません。)

③-2.経営者になっていたこととその期間

これも経管の要件①:建設業に関する経営経験が十分にあるか、に出てきました。

経営者とは、以下の3つのパターンの内、どれかとなります。

  • 会社の役員、個人事業主、令3条使用人であったか
  • 会社の執行役員であったか
  • 経営業務を補佐していた者であったか

それぞれの場合の確認資料と期間の数え方についてお伝えします。

会社の役員であったことの確認資料と期間の数え方

  • 確認資料
  • 登記簿謄本(登記事項証明書、履歴事項全部証明書、閉鎖登記簿謄本のどれか)

  • 期間の数え方
  • 登記簿謄本に記載されている役員の就任退任の日付を見て判断します。登記簿謄本には、役員として就任時期や、重任(役員の任期が経過した後に再度、役員に就任したこと)、退任時期の日付が記載されています。これらの日付で役員となっていた期間を確認します。

  • 注意点
  • 役員には任期があります。10年以上前に設立された会社は、役員の任期が2年となっている可能性があります。その場合は任期終了後に重任の登記がされていないと、役員となっていた期間は全くカウントできないので注意が必要です。任期は会社の定款に記載されています。

個人事業主であったことの確認資料と期間の数え方

  • 確認資料
  • 確定申告書の原本(税務署の受付印が押してあるもの)

  • 期間の数え方
  • 1年度の確定申告書を提出することで、その1年間、個人事業主となっていたことの確認ができます。
    例えば、以下の年度の確定申告書があれば、7年の個人事業主としての経営経験が認められます。
    ・平成19年度
    ・平成20年度
    ・平成21年度
    ・平成22年度
    ・平成23年度
    ・平成24年度
    ・平成25年度
    ・平成26年度

  • 注意点
  • 確定申告書は税務署の受付印が押してあるものでないと認められません。電子申告の場合は、税務署の受領通知とセットで必要となります。
    また、確定申告書の内容として、事業所得が無く給与所得のみとなると、実質的には従業員とみなされ、経営経験とみなされない可能性が高いです。

令3条使用人であったことの確認資料と期間の数え方

  • 確認資料
  • 令3条使用人として登録された建設業許可申請書や変更届出書など

  • 期間の数え方
  • 建設業許可申請書や変更届出書などの書類で確認できる期間が、令3条使用人であったことの確認できる期間となります。
    例えば、建設業許可取得のタイミングで令3条使用人となったとします。(建設業許可申請書で確認)
    その後、1度目の更新の時にも令3条使用人のままでした。(建設業許可更新申請書で確認)
    そして、更新の2年後、その会社を退社するとともに、別の方が令3条使用人となりました。(変更届出書で確認)
    このような場合は、1度目の更新までの5年間と、更新後に退社するまでの2年間の計7年間が令3条使用人であったことを確認できる期間となります。

執行役員であったことの確認資料と期間の数え方

  • 確認資料、期間の数え方、注意点
  • 審査官の裁量によって大きく異なります。組織図や取締役会議事録等は必須となるでしょう。必ず事前に審査官に相談してください。

経営業務を補佐していた者であったことの確認資料と期間の数え方

  • 確認資料、期間の数え方、注意点
  • 審査官の裁量によって大きく異なります。請負工事の内容が確認できる資料などが必要となってくるでしょう。必ず事前に審査官に相談してください。

こういった考え方で、経営者になっていた期間が5年以上、もしくは7年以上となるよう資料を用意してください。(前述した、建設業を行っていた期間と重複していなければいけません。)

③-3.申請者の役員となっているか

これは経管の要件②:許可申請者の役員として常勤で勤務しているか、に出てきました。

申請者が法人の場合は、その会社の登記簿謄本に役員として名前が載っているかで確認します。

申請者が個人事業主の場合は、経管となる方が事業主本人の場合は特に確認資料は必要ありません。
しかし、支配人が経管となる場合は、登記簿謄本にて確認となります。

③-4.申請者に常勤で勤務しているか

これも経管の要件②:許可申請者の役員として常勤で勤務しているか、に出てきました。

常勤の確認資料として、基本的には住民票と健康保険者証が必要となります。

住民票に記載された住所にて、経管となる人の住居が営業所に通える距離にあるかどうかを確認します。
通勤時間が2時間以上かかる場合などは、住民票だけでなく、通勤定期券や、交通費の領収書、ETCの利用明細などの追加資料が必要となる可能性が高いです。
また、住民票の住所と実際に住んでいる住所が異なる場合は、そこに住んでいることを証明するために、賃貸借契約書や水光熱費の明細書などが必要となってきます。

健康保険者証は、社会健康保険証や国民健康保険証、後期高齢者医療被保険者証となります。
ただし、保険証に事業所名が記載されていなければなりません。もし記載されていなければ、以下のような追加資料が必要となります。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書または健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
  • 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)または住民税特別徴収切替申請書
  • 法人の場合は決算書内の役員報酬明細(報酬が年130万円以上ある場合)
  • 源泉徴収の領収書と、それに対する源泉徴収簿

まとめ

経営業務の管理責任者について詳しく説明いたしました。

経管は、建設業許可を取得するための重要な要件の1つです。
経管になると、許可を取得した会社の建設業に関する全責任を負うことになり、非常に重い責任を担う重要な役割となります。

経管になるための要件は大きく3つあります。

  • ①建設業に関する経営経験が十分にあるか
  • ②許可申請者の役員として常勤で勤務しているか
  • ③上記の①、②を証明する確認資料が用意できるか

この3つが全てクリアできなければ経管となることができません。
特に①については、少なくとも会社の役員や個人事業主として5年以上の経験が必要となりますので、そういった経歴が無いと経管となることができません。

経管の要件をクリアしているかはいろいろなケースが考えられます。
このページをよくご覧いただき、本当は要件を満たすのに許可取得を断念するようなことが無いようにしてください。

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