建設業許可の申請を自分で行う場合は、非常に多くの書類を用意しなければなりません。
初めて建設業許可の申請をする方は、必要となる書類を確かめるだけで一苦労かと思います。
もしかするとその結果、行政書士へ依頼することになるかもしれません。
しかし、行政書士の費用も高いので、そのままご自身で行う方も多いかと思います。
そういった方のために、できるだけ手間をかけずに準備ができるよう、このページでは必要となる書類をわかりやすくまとめております。
是非、参考にしてください。
1.建設業許可申請に必要となる書類の一覧
必要となる書類はご自身のおかれている状況に応じて異なります。
しかし大抵の方が、営業所は一つで知事許可一般の建設業許可を申請することになりますので、その場合の必要書類を説明いたします。
(建設業許可の種類については、必要な建設業許可の種類を7分で判断するための3つの質問をご覧ください。)
必要となる書類は、大きく2つに分かれます。
- 決められたフォーマットに従い作成が必要な書類
- ご自身で取得、用意が必要な書類
決められたフォーマットに従い作成が必要な書類
様式番号 | 名称 | 備考 |
---|---|---|
様式第一号 | 建設業許可申請書 | |
様式第一号 別紙一 | 役員の一覧表 | 申請者が法人の場合に必要 |
様式第一号 別紙二 | 営業所一覧表(新規許可等) | |
様式第一号 別紙四 | 収入印紙等の貼付用紙 | |
様式第二号 | 工事経歴書(直前1期分) | |
様式第三号 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額 | |
様式第四号 | 使用人数 | |
様式第六号 | 誓約書 | |
様式第七号 | 経営業務の管理責任者証明書 | |
様式第八号(1) | 専任技術者証明書(新規・変更) | |
様式第九号 | 実務経験証明書 | 専任技術者の要件を実務経験により証明する場合に必要 |
様式第十一号の二 | 国家資格者等・監理技術者一覧表(新規・変更・追加・削除) | |
様式第十二号 | 許可申請者の略歴書 | 申請者が法人の場合は監査役を除く役員全員分、個人の場合は申請者本人のみ必要 |
様式第十四号 | 株主(出資者)調書 | 申請者が法人の場合に必要 |
様式第十五号 | 財務諸表 貸借対照表(法人用) | 申請者が法人の場合に必要 |
様式第十六号 | 財務諸表 損益計算書・完成工事原価報告書(法人用) | 申請者が法人の場合に必要 |
様式第十七号 | 財務諸表 株主資本等変動計算書 | 申請者が法人の場合に必要 |
様式第十七号の二 | 財務諸表 注記表 | 申請者が法人の場合に必要 |
様式第十七号の三 | 財務諸表 附属明細表 | 申請者が法人で資本金が1億円を超える、もしくは負債が200億円以上の場合に必要 |
様式第十八号 | 財務諸表 貸借対照表(個人用) | 申請者が個人の場合に必要 |
様式第十九号 | 財務諸表 損益計算書(個人用) | 申請者が個人の場合に必要 |
様式第二十号 | 営業の沿革 | |
様式第二十号の二 | 所属建設業者団体 | |
様式二十号の三 | 健康保険等の加入状況 | |
様式二十号の四 | 主要取引金融機関名 | |
営業所所在地案内図 | ||
営業所写真貼り付け用紙 |
ご自身で取得、用意が必要な書類
名称 | 備考 |
---|---|
修業(卒業)証明書のコピー | 専任技術者の要件を実務経験により証明し、その期間を短縮する学歴がある場合に必要 |
資格認定証明書写し | 専任技術者の要件を国家資格により証明する場合に必要 |
定款 | 申請者が法人の場合に必要 |
登記事項証明書 | 申請者が法人の場合に必要(個人も必要となる場合有り) |
納税証明書(法人事業税) | 申請者が法人の場合に必要 |
納税証明書(個人事業税) | 申請者が個人の場合に必要 |
預金残高証明書 | 500万円以上の財産要件を残高証明書により証明する場合に必要 |
印鑑証明書 | 申請者が個人の場合は必ず必要(法人も必要となる場合有り) |
経営業務の管理責任者の確認資料 | ※ |
専任技術者の確認資料 | ※ |
営業所の確認資料 | ※ |
健康保険等の加入状況の確認資料 | ※ |
登記されていないことの証明書 | 申請者が法人の場合は監査役を除く役員全員分、個人の場合は申請者本人のみ必要 |
身分証明書 | 申請者が法人の場合は監査役を除く役員全員分、個人の場合は申請者本人のみ必要 |
※印については、以下にて詳しく説明いたします。
2.状況に応じた違い
建設業許可の申請で必要となる書類は、許可の種類により異なります。上記の表は、営業所は一つで知事許可一般の建設業許可を申請する場合の必要書類となります。
そして、その場合でも、申請者の状況により必要書類は異なります。ここではそうした違いを詳しく見ていきましょう。
2-1.法人と個人の違い
申請者が法人と個人の違いにより必要書類が異なるものは、表の備考欄に記載しております。法人の方が必要書類が多いことがわかります。
特に注意していただきたいのが、「納税証明書」について法人と個人で対象となる税金が異なります。法人が法人事業税に対して、個人は個人事業税となります。取得先はどちらも都道府県税事務所となります。
また、「登記されていないことの証明書」「身分証明書」については法人の場合は監査役を除く役員全員分が必要となります。
2-2.経営業務の管理責任者の状況による違い
経営業務の管理責任者は、建設業に関する経営経験が5年もしくは7年以上ある方が要件を満たします。
要件を満たしているかどうかの確認資料として、①現在の常勤を証明する資料と、②過去の建設業に関する経営経験を証明する資料の2つが必要となります。
①現在の常勤を証明する資料
経営業務の管理責任者となる方が、常勤で勤務していることを証明する必要があります。
一般的に必要となる資料として、その方の「住民票」と「事業所名が記載された健康保険証のコピー」の提出が必要となります。
②過去の建設業に関する経営経験を証明する資料
経営業務の管理責任者となる方の、建設業に関する経営経験を証明する必要があります。
経営経験は、法人の場合は役員であったこと、個人の場合は個人事業主であったことの証明が必要です。また経営経験がある期間、建設業を営んでいたことの証明も必要です。
経営経験を証明する資料として、法人の場合は役員の在籍期間がわかる登記事項証明書、個人の場合は確定申告書のコピーが必要となります。
建設業を営んでいたことを証明する資料として、その期間の建設業許可通知書のコピーや、請負工事の契約書、注文書、請求書のコピーが必要となります。
2-3.専任技術者の状況による違い
専任技術者は、国家資格者か、建設業に関する実務経験が十分にある方が要件を満たします。
要件を満たしているかどうかの確認資料として、①現在の常勤を証明する資料と、②技術者としての要件を証明する資料(国家資格者証のコピーもしくは過去の実務経験を証明する資料)の2つが必要となります。
①現在の常勤を証明する資料
専任技術者となる方が、常勤で勤務していることを証明する必要があります。
必要となる資料は経営業務の管理責任者と同じで、その方の「住民票」と「事業所名が記載された健康保険証のコピー」の提出が必要となります。
②技術者としての要件を証明する資料
国家資格者の場合は、国家資格者証のコピーのみとなります。
実務経験を証明する場合は、経営業務の管理責任者の経営経験の証明と似てます。
まず、実務経験とする期間に従業員(役員、個人事業主でも可)であったことの証明が必要です。そして実務経験がある期間、建設業を営んでいたことの証明も必要です。
従業員であったことを証明する資料として、健康保険証のコピーや年金の加入記録が必要となります。役員、個人事業主の場合は確定申告書のコピーでも代用可能です。
建設業を営んでいたことを証明する資料として、その期間の建設業許可通知書のコピーや、請負工事の契約書、注文書、請求書のコピーが必要となります。
さらに、実務経験を短縮する学歴をお持ちの場合は、修業(卒業)証明書のコピーが必要となります。
2-4.営業所の確認資料の違い
建設業を営む営業所の存在を確認するための資料が必要となります。
自社(自己)所有の場合には、建物の登記簿謄本もしくは固定資産評価証明などが必要となります。
賃貸している場合には、賃貸借契約書のコピーが必要となります。注意点として、賃貸の使用目的が事業用、店舗用となっていない場合は、貸主の承諾書が必要となります。
2-5.健康保険等の加入状況の違い
健康保険や、厚生年金保険、雇用保険に加入していることの証明として以下の書類が必要となります。
平成27年1月の時点では加入していなくても建設業許可の取得ができますが、近いうちに加入が必須となることが決まっております。
健康保険や厚生年金保険の加入の確認資料
以下2つの内どちらかが必要となります。
- 健康保険及び厚生年金保険の保険料の納入に係わる領収証書
- 健康保険及び厚生年金保険の納入証明書
雇用保険の加入の確認資料
労働保険概算、確定保険料申告書の控え及びこれにより申告した保険料の納入に係わる領収済み通知書が必要となります。
2-6.地域ごとの違い
知事許可の申請先は都庁や県庁など地域により異なります。そのため、申請に必要な書類についても地域ごとに違いがあります。
例えば、専任技術者の実務経験を証明する資料として工事の契約書等を提出する際、ある地域では最低でも月1件の請負工事が必要であるのに対して、別の地域では年1件で足りるといった違いがあります。
詳しくは3.許可申請書類フォーマットのダウンロード先より、各地域の都庁、県庁のサイトより確認してください。
また主要都市については特徴をまとめておりますので、以下のページをご覧ください。
各地域の建設業許可の申請 をご覧ください。
3.許可申請書類フォーマットのダウンロード先
必要となる書類の中の「決められたフォーマットに従い作成が必要な書類」については、各地域でフォーマットが用意されております。そのフォーマットのダウンロード先をまとめましたので参考にしてください。
ご自身が申請される地域の都道府県名よりダウンロード先にリンクしてます。
北海道開発局 | 北海道 | ||
---|---|---|---|
東北地方整備局 | 青森県 | 岩手県 | 宮城県 |
秋田県 | 山形県 | 福島県 | |
関東地方整備局 | 茨城県 | 栃木県 | 群馬県 |
埼玉県 | 千葉県 | 東京都 | |
神奈川県 | 山梨県 | 長野県 | |
北陸地方整備局 | 新潟県 | 富山県 | 石川県 |
中部地方整備局 | 岐阜県 | 静岡県 | 愛知県 |
三重県 | |||
近畿地方整備局 | 福井県 | 滋賀県 | 京都府 |
大阪府 | 兵庫県 | 奈良県 | |
和歌山県 | |||
中国地方整備局 | 鳥取県 | 島根県 | 岡山県 |
広島県 | 山口県 | ||
四国地方整備局 | 徳島県 | 香川県 | 愛媛県 |
高知県 | |||
九州地方整備局 | 福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 |
熊本県 | 大分県 | 宮崎県 | |
鹿児島県 | |||
沖縄総合事務局 | 沖縄県 |
4.役所などで取得が必要な書類の取得方法
必要となる書類の中ので一部の書類については、役所や法務局、税事務所にて取得しなければなりません。それぞれの取得先をまとめましたので参考にしてください。
取得先機関 | 書類名称 | 備考 |
---|---|---|
現住所を管轄とする市区町村役場(市役所、区役所) | 印鑑証明書 | 申請者が個人の場合は必ず必要(法人も必要となる場合有り) |
住民票 | 経営業務の管理責任者、専任技術者の常勤確認資料として必要 | |
本籍地を管轄とする市区町村役場(市役所、区役所) | 身分証明書 | 申請者が法人の場合は監査役を除く役員全員分、個人の場合は申請者本人のみ必要 取得したい方の本籍地を管轄する役所でのみ取得可能 |
法務局 | 登記事項証明書 | 申請者が法人の場合に必要(個人も必要となる場合有り) 経営経験や実務経験の確認資料として必要となる場合有り |
建物登記簿謄本 | 営業所が自社(自己)所有の場合の確認資料として | |
登記されていないことの証明書 | 申請者が法人の場合は監査役を除く役員全員分、個人の場合は申請者本人のみ必要 取得したい方の現住所を管轄する地方法務局にて取得可能 |
|
都道府県税事務所※税務署ではありません | 納税証明書 | 申請者が法人の場合は法人事業税、個人の場合は個人事業税 |
銀行 | 預金残高証明書 | 500万円以上の財産要件を残高証明書により証明する場合に必要 |
余分な手間をかけないために
上記の取得が必要な書類の多くが、取得から3ヶ月が有効期間となります。
不慣れな方だと許可申請書類の作成に予想以上の時間がかかりますので、先に作成書類の目星をつけ、その後、取得が必要な書類を取得するようにしてください。
特に預金残高証明書は、取得から1ヶ月が有効期間となりますので、最後に取得するようにしてください。
また、大抵の書類が郵送による取得も可能です。郵送用の書類の準備や手配に手間はかかりますが、地域によっては各機関まで遠方になることもありますので、そういった方は郵送にて取得してください。
4.書類の準備が終わったら、許可申請となります!
4-1.申請先
知事許可の場合は、営業所の所在地を管轄する都道府県知事への申請となります。その窓口として都庁、県庁の建設業課や、土木事務所など、地域によって異なりますので、申請前にお確かめください。
4-2.用意する部数
正本として1部、副本として3部の計4部を用意すれば万全となります。地域によっては、正本1 部、副本1部の計2部で足りる場合がありますので、申請先の確認時に合わせてお確かめください。
4-3.審査期間
申請が受理されると、そこから審査期間となります。長ければ2ヶ月、早ければ30日程度で許可取得となります。
まとめ
建設業許可の申請に必要となる書類について、大抵の方が当てはまる営業所が一つで知事許可一般を例にして説明いたしました。
必要となる書類には、
- 決められたフォーマットに従い作成が必要な書類
- ご自身で取得、用意が必要な書類
があります。
取得が必要な書類には有効期間がありますので、順序として作成が必要な書類に取り掛かり、その後、役所等で必要な書類を取得してください。